安全大会の挨拶ネタを一つ。
建設業界において「人手不足」は、もはや一時的な課題ではなく、常態化した前提条件と言ってよい状況です。
そしてこの問題が難しいのは、単純に人数が足りないという話ではない点にあります。実際、人手不足の解消策って難しいですよね。
要は生産性向上
生産性向上。結局はここに行き着きます。
人を増やせないなら、生産性を上げるしかない。かなり身も蓋もない言い方ですが、現実的です。
ただ、建設業の生産性向上は「もっと早くやれ」「効率よく動け」といった精神論では絶対に上がらないのが厄介なところです。
実際に効いてくるのは、だいたいこのあたりだと思います。
手戻りをなくす
図面の曖昧さ、段取り不足、指示の行き違い。ここが減るだけで、体感の忙しさはかなり変わります。
“考える人”と”作業する人”を分ける
現場で職人さんが判断に迷う時間は、全部ロスです。前工程でどこまで詰められるかが生産性を左右します。
一人前を早くつくる
完璧な職人を育てるのではなく、「ここまでは任せられる人」を早く増やす発想です。
人数ありきの工程を疑う
「昔からこうだから」という理由で3人使っている作業、実は2人で回る余地があったりしますよね。
生産性向上の落とし穴と本当の目的
厄介なのは、生産性を上げると「余裕ができる → 仕事が増える → 結局また足りない」という無限ループに入りがちなことです。
それでも、生産性向上は人を削るためではなく、「今いる人が無理せず続けられるようにする」 ためのものだと思うんです。
ここを間違えなければ、現場もちゃんとついてきますし、結果的に「辞めない」ことが一番の人手対策になります。
「個人の頑張り」ではなく仕組みとシステム
これがないと、生産性向上は一時的で終わってしまいます。
現場はどうしても「できる人が何とかする」「分かってる人が回す」になりがちですが、それは属人化であって、仕組みじゃありません。
本当に効くのは、たとえばこんなことだと思います。
判断を現場に持ち込まない仕組み
迷わず動ける段取り、標準化された手順。「聞かないと分からない」を減らすだけで、全然違います。
情報が一か所に集まるシステム
図面、変更点、工程、注意事項。探す・確認する時間は、全部ムダです。
“できる人前提”をやめる
普通の人が、普通にやって、ちゃんと現場が回る設計になっているかどうか。
教えなくても伝わる形
口頭・経験頼みから、見れば分かる・残る形へ。これは若い人ほど効きます。
仕組みができた先にあるもの
結局、人が減っても回る現場は、人が増えても無理しない現場でもあります。
仕組みとシステムを作るのは最初は大変ですが、一度できると「人手不足を心配する段階」から「どう余力を使うか考える段階」に変わります。
そこまで行けた会社や現場は、やっぱり強いです。
以下でも安全大会の挨拶のネタになることをお伝えしています。



